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補陀落島妄想記<1> - fudaraku

 

自宅には和歌山県那智勝浦町にある補陀洛山寺のお守りを飾っています。
県外の方に和歌山の話をすると、たいてい高野山や白浜温泉の話を振られるのですが、ある人が補陀落渡海(ふだらく・とかい)のところですねとおっしゃってから、補陀落渡海の南、たとえば和歌山県最南端と沖ノ鳥島の間にある公海上で本当に島が発見されたらどうなるかという妄想で盛り上がりました。

 

まず考えられるのは、この伝説の島がどのような島かということですが、おそらく島は金門馬祖のように、比較的大きな島があって、そしてそれに附属する小さな島が2、3くらいあるものと思われます。

大きな島の中央部には補陀落山という比較的高い山があって、農業が営なめそうな平地があり、港になりそうな入江があり、森からはそこはかとなく抹香の香りがする。小さな島のほうにはアルバトロス(あほうどり)の営巣地があり、近くの海にはジュゴンも住んでいる。まさに夢のような島です(笑)。

 

島の名前はなにがいいでしょうか。本来であれば補陀落島ですが、それだと宗教色が強すぎるので政教分離の原則に反し却下されるかもしれません。紀伊大島の南にあるので南大島、あるいはひらがなで「みなみおお島」。

 

島の名前を考えていると、この島はどこの国の領土になるのかという話になりました。中華人民共和国と台湾(中華民国)は、「史記」淮南衡山列伝にある蓬莱という記述を盾に領有権を主張するでしょうが、日本は補陀落渡海伝説とともに、あと井上靖の小説を根拠にするかもしれません。どちらにしても、官報にシレッと「和歌山県西牟婁郡沖合に於ける島嶼の件」といったものを告示し、むりやくたに本邦に編入すると思います。この島は本来なら東京都管轄でしょうが、ここは政治の力によって和歌山県西牟婁郡南大島村にてしまいます。そして何百億円・何千億円もの補正予算が編成され、島の開発と振興に乗り出すになります。

 

多額のお金が集まるところには人も集まります。いや、群がると言ったほうがいいかもしれません。おそらく国からの補助金や「ソトコト」の取材を期待して、意識高い系のひとたちが地域活性と称したワークショップを開くことでしょう(そして、この事業を孫受けで受けた彼らの経歴には総務省「新領土と地域創生○○事業」研修講師に就任などと書く)。
このワークショップは東京やら大阪のクーラーのきいたところで開かれると思いますが、ここではさぞかし素敵なアイデアが多数披露されることと思います。

 

「南の島のイメージを考えてみましょう」と称して付箋紙を使ったアイデアラッシュを行い、それをもとに「この島にはなにがあるといいでしょうか」というふうに「誘導」するはずです。そして、キテレツ斎様もびっくりの斬新なアイデアが多数出てまいります。たとえば…。

 

一、南大島には元々人はいませんでしたが、せっかくなので「補陀落のことば」をつくりましょう。

もともと人がいないところに方言を作ろうという提案で、なぜかそれに多数のイイネが群がる。じゃあどんな方言になるかという話になっても、そもそも人が住んでいないので結局わかりようがなく、いきなり地元の方言の話になり、あるいはここは全く新しくミニドラみたいに「フーフー」とか「ダーダー」といった表現にしてしまうのもありだと言いはじめ、使い勝手は一切無視して賛成多数で採用。

 

一、衣食住は、快適に。

なぜかファストファッション・コンビニ・マンションのイメージ、そして街の中心部には謎の免税ショッピングセンター
衣はたとえばユニクロ、H&M、niko and...が南大島店にあればいいねと言いはじめ、多くの賛同が得られる。食はセブンイレブン直営店を誘致し「日本最南端のセブンイレブン」と称していただくと言い始める。セブンイレブンは自身を社会インフラと称しているので、仮に断ったとしても有力政治家や政党から圧力をかけるなりすればいいし、それでもさらに断れば「反日企業」の烙印を押すだけでいいと言って自己解決(笑)。家屋は無印良品の家・小屋とコラボし、部屋に入ると有無を言わせず「例の音楽」が流れる仕様にする。

 

一、一島一品を提唱しましょう。

南大島の地場産品はこの地域になんの縁もゆかりもないイシキタカイ種のコーヒ(マンゴーフレーバー)をプランテーション栽培。某有名なブレンダーあたりが「幻の珈琲」と称して売り込めば、波照間島で売られている「泡波」のようにおそろしく希少価値が出ると思われる。マンゴーフレーバーだったら酒造場やタバコもよいかもしれないが、アンチ健康には評価が低いかもしれない。

 

一、仕事のある島、夢のある島。

ワークショップでは第一次産業である農業が主要産業と言いつつ、自分が実際に住むとすれば、実際は0と1の塊をマウスで動かす仕事にしか目もくれないので、ウェブデザインや観光フリーペーパーの話をしはじめる。
あと、補陀落山を活用したサービス業として、たとえば補陀落山の至るところで「私製御朱印」の商売が横行。「補陀落八十八ヶ所御朱印巡」が雑誌に大きく取り上げられブームになるが、こんなの一日や二日で集められるわけではないので、最後の十数カ所を集められなかった人から「ぼったくり」と言われ大問題になる。
鉄道なんかは夢があっていいかもしれないと言い出し、一般に軽便鉄道がイメージされるものの、南大島には山があるので登山鉄道を走らせることに。上下分離方式で運賃は往復2,400円程度(但し、半額は税金で補填するので1,200円)と、運賃についてはやたら具体的なのに、鉄道敷設の具体については特定技能の移民を入れるといいのでは?と急に端切れが悪くなる。空港は環境破壊が気になるというので、逆転ホームランとしてアメリカから空母を借りるという方法もあると言いはじめる。

 

一、ゆるキャラ(番外)

あと最後に、ゆるキャラ・ふだらくちゃんじだらくくんもつくられる。そしてこれをパクったキャラクタとしてふしだらくんも生まれ、論争になる。

 

このように妄想していると、補陀落の島というよりカンダタの島のようになってきたのでした。
 

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